バロックと電子音楽

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ここまでJavaのプログラムを作ることによって音を出すことができるようになりました。もちろんまだ改修する余地はたくさんありますが、このあたりで「何で演奏するか」から「何を演奏するか」の話題に入りたいと思います。

楽器の音色を決める(1)
楽器の音色を決める(2)

現代的な楽曲を作る問題点

電子的に作った音であれば当然電子音楽として今流行しているような作品を作りたいのですが問題もあります。

音質的に同等のものを作るのが難しい

今流行している音楽に使われている音は多彩です。多くの資産と頭脳が投入されて作られた音を使っているからです。利用するには大抵購入したり使用料を払う必要があります。

これに対して個人の手作りプログラムだと同じような曲を作るとどうしても聴き劣りしてしまいます。初期のテクノミュージックのような音を作るのさえもなかなか大変なことです。

比べてしまうと寂しい気持ちにもなりますが自分で「手作り」したものはまた味わいぶかいものです。また楽曲の主な部分は流通している機材やソフトウェアを使い部分的に自分で作った音を重ねて使うのも良いかもしれません。

著作権の問題

自分で作曲をするのでなければ既存の曲をカバーすることになります。しかし現代の楽曲には著作権があり個人で楽しむ分には良いのですが発表するのはおのずと制限があります。発表しなければよいのですがせっかく作るのでしたらたくさんの人に聞いて欲しくなるものです。使用料を払うのもありですが避けたいところです。

解決方法としては以下の二点になるでしょう、

  • 自分で作曲をする
  • 著作権の切れた作品のカバーをする

バロック音楽の利点

このサイトではカバーする対象としてバロック音楽を主に考えています。バロック音楽は17世紀から18世紀前半までの音楽で有名なのはバッハ J. S. Bachやヘンデル G. F. HändelやテレマンG. P. Telemannなどの人物です。

著作権の問題がないこと

まず一番大きな理由は著作権の問題がないことです。作品は300年近く経っているため単なるカバーだけでなく好きなようにアレンジしても全く問題ないです。こういったことは創造性を発揮する上でも重要なことだと思います。実際現代でもこういった古い音楽が形を変えて流行することもあります。

楽曲が単純であること

バロック時代の音楽は現代の音楽に比べていろいろな意味でシンプルに作られています。例えばこの時代より後の楽曲では強弱やテンポや楽想などいろいろ細かい指定が多くなりますがバロックの音楽にはそのような指示は少ない、あるいは全くないものもあります。

楽器の指定さえないものもあります。これはその場にいる演奏者で適切に分担して演奏することを意味しています。あとの時代の曲は例えばバイオリンの曲であればその楽器の機能を最大限に引き出すような曲であることが多いのですが、バロックの音楽は主旋律がフルートやバイオリンなど差し替えができるようなものが多いのです。

またその後の時代では廃れてしまった通奏低音Basso Continuoというスタイルがありました。これは今でいうベースラインと簡単なコードの記述をした楽譜を元に鍵盤奏者が即興で演奏するものです。指定されたベースラインを左で弾き、右手はコードを即興で演奏します。これは20世紀のジャズのスタイルに共通するところがあります。

また当時はまだ対位法という作曲方法が普通に存在していました。これは複数のパートが別々のメロディを演奏するもので結果として楽曲として成り立つというものです。例えばカノンというスタイルの曲は最初のパートの鳴らしたメロディをすこし遅れてまったく同じように別のパートが演奏します。作曲技法としては複雑なのですが、このようなスタイルはプログラムで簡単に表現することができます。

音源や楽譜の入手が容易であること

参考にする音源はある程度はYoutubeでも見つかると思いますし図書館でも大抵見つかります。図書館は流行の音楽には弱いですが昔の作品については驚くほどよく揃えています。自分の住んでいる町の図書館以外に近隣の図書館もチェックすれば大抵見つかると思います。

楽譜については以下のサイトで著作権の切れた楽譜をダウンロードすることができます。

https://imslp.org

作曲の勉強になること

やはり将来的には自分で作曲をできるようにしたいものです。バロック時代は現代の曲の基礎となる調律法、平均律の黎明期です。バッハは20世紀にシェーンベルクが考案したとされる12音技法による作品と同じようなものをすでに作っています。この時代は現代の作曲技法を学ぶよいスタート地点になるのではと思います。

電子音楽との相性がよいこと

これは意外にも思えますが楽曲に強弱やテンポの変化が少ないというのが利点となっています。初期の携帯電話はサンプリング音源を演奏することはできず着信メロディは内蔵音源にMIDIで演奏をさせていました。この時のプリセットにはバッハの曲もラインナップされていました。

電子音楽に厳しい環境、つまり低スペックな環境ではバロックのなかでもシンプルで同時発音数のすくない曲は重宝されるます。17世紀はまだ工業が十分に発達していなかったため楽器制作にとって厳しい環境であったと思います。そのような中で作られた曲は演奏に厳しい環境に適応しやすいと思われます。

まとめ

といったあたりから今後サンプルで楽曲を使うときはバロックの曲を主に使っていきたいと思います。いろいろ理由を述べましたが個人の好みも大きくあることを付け加えておきます。

Javaでの実装:平均律クラヴィーアBWV846プレリュードの一部

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