調律の話(1)

スポンサーリンク

音階は振動数の比率の関係でできています。例えばピアノの真ん中のドから上のラは一般に440Hzです。その1オクターブ上のラの周波数はこの2倍の880Hz、1オクターブしたのラは半分の220Hzです。このように1オクターブ上がるごとに2倍、下がるごとに半分となるということが音階を考えるときの基本になります。
おそらく多くの文化や文明の音楽のなかで呼び名こそ違うもののオクターブに相当する概念は必ずあると思われます。さてこの1オクターブの間にどのような音の比率で埋めて行くかが調律または音律の問題になります。

ピタゴラスの音律

ピタゴラスまたはピュタゴラスは紀元前500年頃の古代ギリシアの哲学者で数学者でもありました。実際にピタゴラス自身がこの音律を考案したかは不明ですがその一派の人物の発案と言われています。ピタゴラスの一派の中では音には比率が存在すると見抜いていました。先ほどのオクターブの2倍についてもそうですがドに対するソは周波数の比率が2:3、つまりドの周波数の3/2倍、つまり1.5倍がソの周波数だと知っていました。当時はドとかソとかいう言葉はなかったのですが考え方としてはこのようなものです。

鍵盤が手元にあるようであれば見て欲しいのですがドからソは白い鍵盤でド、レ、ミ、ファ、ソとドを1とすると5番目の場所にあります。これを5度の音程といいます。このように5度上の音は周波数が3/2倍になるというのがピタゴラスの音律の基本的な考えです。これを発展させて音階を作ります。ドから5度下にいくと下のファになりますがこちらは2/3の周波数になります。この1オクターブ上のファは2倍するので4/3になります。

ファ ファ
2/3 3/4 27/32 243/256 1 9/8 81/64 4/3 3/2 27/16 243/128 2 9/4

ソの5度上はレになります。ソが3/2なのでレはさらに3/2をかけて9/4になり、オクターブ下にするために2で割ると9/8になります。

同じようにレから5度上のラを求めるには9/8に3/2をかけて27/16です。ラの5度上はミで81/32、1オクターブ下にするために2で割って81/64。ミの5度上はシで3/2をかけて243/128、1オクターブ下にするために2で割ると真ん中のドのすぐ下のシになります。

これで白い鍵盤の音については全て埋まったと思います。黒鍵盤についても同じように拡張すれば良いのですが省略します。

ドやファやソあたりは簡単な比率なのですがミやシはかなり比率としてはわかりにくいものになっています。

下のサンプルはサイン波で440Hzのものと660Hzのものを鳴らした様子です。

調律の話(2)

スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。