パッヘルベルのカノンと通奏低音(1)

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次に有名なパッヘルベル Johann Pachelbelのカノン Canonを演奏したいと思います。まずは曲の分析が必要です。ここではオリジナルの楽譜を見てみたいと思います

カノンの楽譜の出だし

https://imslp.org/wiki/Main_Page

タイトルはおそらくCanon a 3 Violini con Basso c.とイタリア語で書いてあるようです。”Violinis”ともよめるのですがViolinoの複数形Violiniだと思います。Basso c.はBasso continuoつまり通奏低音のことでaは英語のatやinに相当する前置詞、conは英語のwithなので直訳すると「通奏低音付きの3つのバイオリンでのカノン」となります。

元はジーグGigueという他の様式の曲と2曲で1作品ですがカノンだけが有名になっています。。パッヘルベルは生涯でこの一曲しかカノンを作曲していないということで「パッヘルベルのカノン」というと間違いなくこの曲を指すことになります。

楽譜は上からバイオリン1、2、3とチェンバロになっています。通奏低音は最初の2小節が書かれていて3小節目より省略されています。これはそのあとは最初の2小節を繰り返すという意味になります。

バイオリンはそれぞれ3小節目、5小節目、7小節目から入ってきますが3つとも入る場所が違うものの同じ演奏をしていることに注意してください。あとで実装する時にこれは重要な点です。

通奏低音について

通奏低音は楽譜上の低音の旋律に和音をつけるバロック時代の演奏スタイルです。低音の旋律は鍵盤楽器での左手として考えそこから右手の和音を演奏者が想定してアドリブ演奏をするスタイルのことを言います。一番簡単なのは左手のベースと同じタイミングで右手の和音を引くことですが、演奏者によっては他のパートの演奏を聴きながらかなり自由に演奏することあります。

通奏低音の旋律はこれにチェロを重ねて演奏することが一般的です。なのでこの曲に必要な演奏者はバイオリンが3人、チェロ1人、チェンバロ1人の5人編成になります。

通奏低音が一般的なバロックの音楽ではクラシック音楽でいわれるような「楽譜通りに演奏する」という概念は通用しません。

右手の復元の仕方

通常は通奏低音の音の上に3和音を乗せます。例えばDの音がかかれていて、楽譜がニ長調 D-durであればDmajつまりD-F#-Aの和音にします。もちろん前後の和音の関係で転回によってどの音を最高音にしても構いません。

この楽譜にはありませんが通奏低音には数字や記号が添えられることがあります。複数ある場合は譜面上では縦に並べられます。ニ長調での例をあげます。

ベース 数字記号 意味 演奏される和音
D 7 7度を加える 調性上長7度 Dmaj7
D 7♮ 短7度を加える D7
F# 6 Dmajの第一転回形 D on F#
F# # 3度を長3度にする F#maj
A 7 7度を加える 調性上短7度 A7
A 3度を短3度にする Amin
A 4 7 3度の代わりに4度にし7度を加える A7 sus4
A 4 6 Dmajの第二転回形 D on A
C# 3 4 6# F#7の第二転回形 F#7 on C#

これを踏まえてカノンの伴奏を考えます。

パッヘルベルのカノンと通奏低音(2)

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