サン=テグジュペリとプログラム

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プログラムを作成するにあたって注意することがあります。それはプログラムを作ることそれ自身が目的にならないにすることです。もちろん学習にあたってはプログラムのためのプログラミングがあって良いと思います。しかし実際に何か目的を持っているのであれば最初に定めた目的を常に持ち続ける必要があります。今回はそのような参考になるお話を紹介したいと思います。

サン=テグジュペリと飛行機

サン=テグジュペリはフランスの作家で飛行機の操縦士でした。黎明期の航空便は困難なもので、「郵便物を目的地まで届ける」という目的以前に機械の故障や航路を見失うなど多くの障害に会っていたようです。彼の飛行機が砂漠に墜落した時の経験から有名な『星の王子さま』が書かれました。彼の代表作の『人間の土地』Terre des hommesの「飛行機」L’avionから二箇所抜き書きして訳をつけます。「飛行機」や「機械」の部分は「プログラム」にうまく読み替えて読んでみてください。

目的と手段

L’usage d’un instrument savant n’a pas fait de toi un technicien sec. Il me semble qu’ils confondent but et moyen ceux qui s’effraient par trop de nos progrès techniques. Quiconque lutte dans l’unique espoir de biens matériels, en effet, ne récolte rien qui vaille de vivre. Mais la machine n’est pas un but. L’avion n’est pas un but c’est un outil. Un outil comme la charrue.

便利な機械の使用は君を無味乾燥の技術者にすることはない。技術革新に過剰な恐れを抱く人々は目的と手段を混同しているように私には思える。すぐれた機械を求めることだけに努力する人は誰でも、実際のところ、生活での価値を得ることはない。機械は目的ではないのだ。飛行機は目的ではなく道具だ。畑を耕す鋤と同じような道具なのだ。

技術革新に対して不安を抱く人はいつの時代もいます。それが人の生活をつまらないものにしてしまう可能性があるからです。でも未来がどうなるかはその技術をどう使うかによります。

当時は機械のトラブルなど様々な苦労に見舞われることが多く、機械のことだけを考えることを余儀なくされる人が多くいたことは確かでしょう。確かに機械のトラブルを解決することによって多くの問題がなくなるのですが本当に大事なことはその機械を使って何をするかを常に考えることなのです。

技術の洗練

La perfection de l’invention confine ainsi à l’absence d’invention. Et, de même que, dans l’instrument, toute mécanique apparente s’est peu à peu effacée, et qu’il nous est livré un objet aussi naturel qu’un galet poli par la mer, il est également admirable que, dans son usage même, la machine peu à peu se fasse oublier.

発明の完成はすなわち発明の不在と境界を同じくする。そして機械においても同じように段々とその姿を消していき波に磨かれた小石のようなものを私たちに届ける。その使用そのものによって機械は段々と忘れられていくであろうことは同じように驚くべきことだ。

例えば私たちが日常的に使っているネットはそれを支えるたくさんの技術で成り立っています。ネットがより洗練されていくほどそれらの技術は表面から姿を消していきます。ディスプレイに映るものは洗練されたものとなり、それはあたかも凸凹の石が波に磨かれて綺麗な丸石になるのと似ている、とここでは表現されています。

他にも技術と人間についてや職業観などこの本から学べることについて紹介したいのですがまた別の機会にします。

以下『人間の土地』の日本語版です。参考まで。

こちらは原語のフランス語版です。難しい言い回しはあまりないのでフランス語中級くらいの実力があれば挑戦してください。

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