ステレオについて

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ステレオという単語は古代ギリシア語のστερεός / stereo「堅い」「しっかり確立された」という意味の言葉に由来しています。複数のスピーカーやヘッドフォンから同時に音をならすことによって音源がどこに位置しているかを「しっかり確立」するシステムのことをいいます。同じ語源の言葉にステレオタイプがあります。「固定観念」「先入観」のような意味で使われしっかり確立した見方であるものの偏っていたり変更できないため正しい見方とはいえない場合に使われます。

ステレオの仕組み

一つのスピーカーから音を鳴らした場合それを聞く人はそのスピーカーの方向に音源があると認識します。ではスピーカーを二つにして右からバイオリン、左からピアノの音を鳴らすとします。聞く人はそれぞれの楽器が別の方向から聞こえてきたと認識します。

もっと楽器を増やしたい場合この理屈で考えればスピーカーを増やしていけば良いことになります。四重奏であれば四つスピーカーがあればいいのです。しかし聞く音楽の楽器の種類でスピーカーを増やしたり減らしたりするのは面倒ですしオーケストラを聴くために演奏者ごとの個別のスピーカーやそれを再生する装置を用意するのは大変なことです。それに人はそれほど多くの音を別々に認識することはできないのである程度のシステムで落ち着くことになります。実際に一番普及しているのは2チャンネルつまり二つのスピーカーによる再生システムです。

二つのスピーカーで考えた場合右と左の両方のスピーカーから同じ音を同じ大きさで鳴らすとそのスピーカーから等距離に位置する人にはあたかも二つのスピーカーの真ん中あたりから音が聞こえてくるように認識します。この効果を利用すると二つのスピーカーの間に無数の音源を配置することができます。例えば左と右で2対1の音量で音を鳴らすと真ん中より左よりに、1対2にすれば右寄りに音を配置することができます。

ヘッドフォンはスピーカーを直接耳につけているのと同じことなのでスピーカーで考慮しなくてはいけないスピーカーと聞く人の距離は考慮しなくて良いことになります。ステレオをモニターする場合ヘッドフォンを使うのはこのためです。

パン、モノラルのパニングについて

ステレオで表現される音空間で音源の位置を設定することをpanと言います。パノラマpanoramaというこれも古代ギリシア語に由来する言葉から作られた英語の動詞です。現在分詞はpanning、パニングです。

2チャンネルのwavファイルではサンプルはある時点で左と右の二つのデータを保持します。データの順番は左、右です。日本語だと「右左」とよく順序付けられますが英語では「L-R」つまり「左右」という言い方が一般的でファイルのフォーマットもこの文化的な背景に影響を受けています。

モノラルデータはスピーカー一つに対応したものなのでこれを2チャンネルステレオ用のデータに変換するには一つのサンプルデータを元に左と右の二つのサンプルデータを作ることになります。

左のスピーカーから出すにはモノラルのサンプルデータに対して左に係数1、右に係数0をかけて二つのサンプルデータを作ります。右から出すには左に係数0、右に係数1をかけます。真ん中からであれば係数0.5ずつにすれば良いことになります。

パンの値は0 – 1までの小数で設定します。これは左の値です。右の値は1.0から左の値を引くことによって求めます

double pan_l = 0.0;
double pan_r = 1.0 - pan

今まではスピーカー一つ分の音、つまりモノラルで音を作っていましたが次回からは2チャンネルのステレオにパニングされた音を作ります。

モノラルからステレオに変換する(1)

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