前回はピタゴラスの音律で音階を求めました。今回は平均律という音律を見ます。説明が必要ですがピタゴラスの音律は5度の関係の音同士は良好に和音を奏でるのですが例えば半音となりなどの音は比率があまり綺麗になっていません。一部を良い関係にすると他の場所であまり綺麗な比率にならないという問題が調律には含まれています。
ピタゴラスの音律は3/2の関係を基本としていましたがこれには問題があります。以下を見てください。5度ずつ進むことによって元の音にもどることが想定されます。
ド→ソ→レ→ラ→ミ→シ→ファ♯→ド♯(=レ♭)→ラ♭→ミ♭→シ♭→ファ→ド
このように12回5度ずつ進むと同じ音に戻ってきます。しかし3/2を12回かけても綺麗な比率にはならなそうです。オクターブの関係は2の乗数でしたがピタゴラスの音律での一周後は計算すると2.0272…と2にはなりません。これを2にするためにどこかあまり使わない音の間でつじつまをあわせているのです。
平均律
平均律は1オクターブに12の音があると想定してその関係を全ての比率を同じにしたものです。半音、つまり隣同士の音の比率はオクターブの比率2の12乗根(ルート12)になります。逆にいうと半音の比率xを12回かけると2になるような比率xが平均律での基本的な数字になります。以下Javaでの計算式になります。
double half_tone = Math.pow(2.0, 1.0 / 12.0);
出力すると以下のようになります。
1.0594630943592953
音階の5度の関係は間に黒い鍵盤を挟むので7半音上になります。つまり半音で出た比率を7回かけると5度の比率が出せます。
double half_tone = Math.pow(2.0, 1.0 / 12.0); double fifth = Math.pow(half_tone, 7); System.out.println(fifth);
実行すると以下のようになりました。
1.498307076876682
1.5より少し少ない値です。このくらいなら気にならないかもしれませんがよく聞くとわかるはずです。ピタゴラスの音律による1.5のものと平均律のものを並べて聴いてみてください。
ピタゴラスの音律による5度
平均律による5度
よく聴き比べてください。平均律の方には2音重なった時にうねりのようなものが聞こえましたか?このうねりが美しくないという考え方もあります。ピタゴラスではあまり使わない音程の間に隠していた複雑な比率を平均律では全ての音の間で同じように分散させています。これは音の響きの面では短所に見えますがどの音程も同じ響きが得られるという点においては長所とも言えます。
特に現代では様々な音程を駆使する楽曲があるため平均律は非常に使い勝手の良いものになっています。